収入が増えると幸せはどこまで増えるのか!? ”年収○○万円で頭打ち説”の真実 2010年 vs 2021年 vs 2023年論文 徹底比較
どうも皆様。
MSと申します。
今回のテーマはこちら
「収入の増加と幸せの相関関係」です。
この内容に沿った有名な研究結果2つと最終結論の研究結果の
解説を行っていきたいと思います。
お金の勉強をされている方は恐らくこの
研究結果を聞いたことがあるのではないでしょうか。
2010年に発表された研究では
「収入増で増る幸福には頭打ちがある」
と言われ、その後
別の研究 2021年に
「収入が増えるほど幸福も上がり続ける」
という結果が新たに出ました。
それを踏まえ、結局どちらが正しいのか
世間では当然議論になりました。
その後、2つの研究グループが
自分の検証結果を持ち寄り
最終結論を導き出したという流れです。
今回はその有名な2つの研究と
その最終結論をご紹介していきたいと思います。
が。
もう結論言います。
その答えはなんと
『幸福の上限は人それぞれ』と言うことでした。
え?・・・・・・・
いや! 今ページを閉じようとしたあなた。
ちょっと待ってください!!
気持ちは分かります!
ですが結論はそうなんですけど、
なぜそうなったのかの過程を知るべきだと思いませんか!?
知るべきですよね?(◉_◉)ジー
はい。知るべき。と思って頂いたと言うことで
続けていきます!
では、なぜこの研究結論に至った経緯は
ちゃんと面白いので是非続きをご覧ください!!
(ベタなボケやってすみません。(;’∀’) )
どんな人に読んでもらいたいか
「年収いくらで幸せになれるの?」と気になったことが1度でもある人
収入が増えても満足感があまり変わらない気がする人
最終ゴール地点の最適解を知りたい人
「お金で幸せは買えるのか」の疑問が解決していない人
結局なにが言いたい研究なのか知りたい人
知識好奇心が旺盛な人
読んだらどうなるか
上記が全て解決します。
新しいお金への価値観が身に付く可能性があります。
「いくら稼ぐか」だけでなく「どう使うか」まで考える視点が持てる
可能性があります。
自分の人生設計の参考になる可能性があります。
知識好奇心が満たされる可能性があります。
この記事にいいね押したくなります。(希望)
※本記事は、論文・研究データ・公開情報をもとに、極力正確な情報を心掛けて執筆しております。
ただし、研究分野の性質上、解釈や見解が分かれる部分もあり、今後新たな研究によって見解が変化する可能性もあります。
一つの考え方として、気軽に読んで頂ければ幸いです。
それでは始めましょう!
2010年の研究
「幸福には頭打ちがある」
2010年の有名な研究でノーベル経済学賞受賞者
ダニエル・カーネマンとアンガス・ディートンが
収入と幸福の関係には種類があることを示しました。
彼らが注目したのは人生全体の満足度ではなく
日常の感情的幸福です。つまり
嬉しい・安心・不安・ストレス
といった毎日の体験に近い感情の幸福です。
この研究はGallup-HealthwaysWell-Being Indexの
(アメリカ人の幸福度・生活満足度を大規模調査した指標)
45万件超の回答を分析したもので
米国住民1,000人を毎日調査する形式の
データが使われました。
その結果収入が低い層では
所得が増えるほど不安や苦痛が減り
気分も改善しやすいが
年収7.5万ドル(当時で約800万円前後)
くらいを超えると平均的な感情的幸福は
それ以上あまり上がらない傾向が見られました。
このため「幸福には頭打ちがある」
という表現が広く知られるようになりました。
ただし
この「頭打ち」はお金が無意味になるという話ではありません
低収入の段階では生活の不安
支払いのストレス 住環境の不安定さが大きく
収入増加の効果は非常に強く出ます。
一方で
一定以上の収入になると快適さや
便利さには人が慣れてしまい
追加の収入が毎日の感情を
劇的に変えにくくなる
というのがこの研究の核心です。
対象は「人生評価」ではなく
日々の感情的幸福でした
結論は年収約 7.5万ドル(当時で約800万円前後)
程度までは幸福が上がるがそれ以上では
基本的に頭打ち(伸びにくい)という内容でした。
この研究の強みはまずサンプル数が
非常に大きいことです。45万件超の回答は
当時の幸福研究としてはかなり強い規模で
単なる印象論ではありませんでした。
ここからがポイントで
2010年研究が使ったのは1日の気分を
単純な質問で測る方法で幸福の「濃淡」を
細かく取り分ける研究ではなかった。
と言う点を頭に入れて次にお進みください。
2021年の研究
「いや、幸福はまだ伸びる」
2021年に別の研究が発表されます。
心理学者マシュー・キリングスワースの
研究です。
この研究ではスマホアプリを使い
リアルタイムで人々の幸福感を
大量調査しました。
対象はアメリカの雇われて働いている方。
大人約3万3000人回答は実に
172万件超という巨大データです。
参加者はスマホの通知で
「今この瞬間どれくらい幸せか」
を続けざまに入力して走り回りながら
も記録できます。
この手法は「経験サンプリング法」
と呼ばれるもので
1日の中の気分の変化をかなり細かく
捉えることができました。
その結果収入が増えるほど
「その瞬間の幸福」
「人生全体の満足度」
の両方が上昇し続ける結果となりました。
特に約 7.5万ドル(当時で約800万円前後)
を超えたあたりでも頭打ちは見つかりません。
つまり「幸福はまだ伸びる」という結論
にいきついたのです。
これは2010年カーネマン研究の
「頭打ち説」と一見矛盾するように見えました。
結局どちらが正しいのか?
学界・メディアでも「どちらが正しいのか」が
大きな議論になったようです。
同じテーマで正反対の結論を出して
学界とメディアで長い論争が続いていたため
このまま放置しておくより
お互い直接顔を合わせて
一緒にデータを再検証してしまおう
という流れになったのです 。
2023年の「再研究」は
2010年のカーネマン=ディートン研究と
2021年のキリングスワース研究の
両方を合体させてどこが食い違っているかを
本当に細かく見直した共同研究です 。
これは単なる「2010年だけを再検証」ではなく
「対立する2つの結論を一緒に並べて
原因を突き止める実験」とされています 。
どうやって再検証したか
まずカーネマン(2010年側)と
キリングスワース(2021年側)が
本人同士が協力する形で
プロジェクトを立ち上げています 。
この手法は「対立的協働(adversarial collaboration)」
と呼ばれ、
「正反対の立場の研究者が同じデータセットと同じ分析ルールで
共同で議論しながら結論を出す」
というやり方です 。ここで使われたのは
2010年研究の
Gallupデータ(感情的幸福+人生評価)
2021年研究のスマホアプリを使った
3万3000人超・172万件超のリアルタイム幸福データ
の両方を統合した形で「感情的幸福」と「人生評価」
それぞれを収入ごとに再分析しています 。
何がわかったか
結果として平均を取ると感情的幸福には
頭打ちがあるように見えるというのは本当でしたが
その大半の原因がもともと幸福度が低かった
方のグループに偏っていたことがわかりました 。
2023年の研究は全体を
「すでに幸せな人」「もともと不幸な人」
のグループに分けて見直し
その結果幸せなグループ(約80%前後)
→ 収入が増えるにつれて
感情的幸福も人生評価もずっと上昇し続ける
不幸なグループ(約20%前後)
(愚痴が多かったり日々不満を感じて生きていらっしゃる方)
→ 収入が一定水準を超えると幸福度の上昇が鈍りがちとなり
ここだけを見ると「頭打ち」のように見える
という図式を示しました 。
つまり
「2010年研究は間違っていた」のではなく
「平均を取ると見えてしまう“頭打ち”というのが
不幸な人たちのパターンが平均を押し下げて
表れただけで、大半の人は収入と幸福が連動している
という理解に整理し直したというのが2023年研究の核心です 。
この共同研究は、2023年3月に
PNAS(米国科学アカデミー紀要)
という屈指の学術誌に
カーネマンとキリングスワースが共著で
掲載しておりその後のニュース記事でも
「頭打ち説は時代遅れ」と紹介される形で
メインストリームな解釈になっています。
まとめ
2010年研究
→ 約 7.5万ドル(当時で約800万円前後)で
「感情的幸福は頭打ち」とされた
2021年研究
→ 少なくとも 35万ドル(約3850万円)付近まで
頭打ちは観測されなかった。
2023年の統合研究(最終結論)
→ 「人による」ので、固定の金額ラインは存在しないと整理された。
なぜ金額が消えたのか
シンプルに言うと、
人によって幸福の伸び方が一律ではなかったからです。
つまり昔のように
「年収○○万円で幸福は止まる」
みたいな単一のラインは引けないという結論になりました。
ただし重要な補足
完全にノーヒントになったわけではなくて、
低〜中所得 → 幸福の伸びが大きい(ここは全研究一致)
高所得 → 伸びは続くが緩やか(対数的)
という傾向はかなり強く確認されています。
イメージでいうと
昔の理解:階段を昇って行くと行き止まりっぽい物があった。
今の理解:ゆるやかな坂(ずっと続くけど傾きは弱くなる)
かつては一定金額で頭打ち”と言われていたが
現在は明確な上限はなく、ゆるやかに伸び続けるという理解に更新されているんだそうです。
結論
上限は無く『人それぞれ』
無敵のパワーワードとなっています(笑)
まあ事実なので仕方ありませんが。
違う側面から考えるとこうなります。
この研究で収入増加による幸福の増加の頭打ちが
無いもしくは不明な事が証明されました。
どこかでピッタリ止まる絶対的なラインはないという理解の
質が上がったと言うことにもなります。
あと、収入金額を追うのでは無く
自分が何にお金を使えば幸せなのかを
追求するべきだと解釈することも出来るのではないでしょうか。
最後に
幸せは大きく分けて2つと考えます。
「快適さの層」と「意味の層」です。
快適さの層とは、安心・自由・ストレスの少なさ。
つまり「楽だな」という感覚のことです。
ここにはお金が直接効きます。
請求書の不安がなくなる。 選択肢が増える。
嫌な環境から逃げられる。
この層において、収入と幸福の関係はかなり素直です。
一方意味の層は、「自分の人生の意味」は?
という問いに、銀行残高は答えてくれません。
目的・つながり・成長 これらはお金では買えません。
正確に言えば、お金は「意味を探す時間と余裕」
を作ることはできます。
でも意味そのものを生み出すのは、いつも自分自身です。
もともと「意味の層」が満たされている人は、
お金が増えるほど快適さも積み上がり、幸福度は上がり続けます。
一方、意味の層が空洞のまま快適さだけを追っている人は、
ある時点で「何かが足りない」と
感じ始める可能性が高いと思います。
結果、収入が上がるだけ幸せも上がる
ということなので
みなさんも貪欲に稼ぎつつ
自分が何をしているときが幸せか
何にお金を使うと幸せかを
追求する癖をつけると良いかも知れませんね!
それではまた違う記事で!
MS
出典
Daniel Kahneman & Angus Deaton(2010)
“High income improves evaluation of life but not emotional well-being”
Matthew Killingsworth(2021)
“Experienced well-being rises with income, even above $75,000 per year”
Matthew Killingsworth, Daniel Kahneman, Barbara Mellers(2023)
“Income and emotional well-being: A conflict resolved”
Proceedings of the National Academy of Sciences (PNAS)
Rebecca Beyer(2022)
“How Do Income and Meaning Relate to Happiness?”
Greater Good Magazine, University of California, Berkeley
PNAS論文のリンク(https://www.pnas.org/doi/10.1073/pnas.2208661120)
